NTNは2018年4月19日、インホイールモーター(IWM)駆動システムと車両制御技術に関して、中国の新興自動車メーカー長春富晟汽車創新技術(FSAT)とライセンス契約を締結したと発表した。NTNが技術支援し、FSATはIWM駆動システムを搭載した軽量化新エネルギー車(新エネ車)を量産する。この新エネ車には、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)製ボディーとアルミ鋳造製シャシーを採用したFSAT社の軽量化技術と、IWM駆動システムおよび、車両運動制御技術が搭載される。

現在、電気自動車(EV)の主駆動方式は、エンジン部位に大型電動モータを搭載した1モータ駆動方式。NTNによると、これまでインホイールモーターを搭載した量産EVはないという。NTNは、2003年から次世代EV用にIWM駆動システムの研究開発に着手し、実証実験などを経て、軽量化、小型化に向けた改良を行ってきた。

今回、新エネ車に搭載されるIWM駆動システムは、前輪駆動車に多く採用されるマクファーソンストラット方式サスペンションのレイアウトでの組み付けが可能。既存の基本レイアウトに対応するため、エンジン車のサスペンション部品などを利用でき、新規設計を必要としないメリットがある。減速機の採用によりコンパクト化と軽量化を実現し、併せて空冷式を採用することで構造の簡素化を図っている。

ディー?エヌ?エー(DeNA)は、既存事業の開発現場とは別に、最先端技術の研究開発と事業化への発案に集中する集団として、R&D組織を新設。次世代の技術の習得とともに、さまざまなチャレンジを積極的に行うことで、新技術のスムーズな事業適用を目指す。

ディー?エヌ?エー(DeNA)は2018年8月6日、新たな技術領域を積極的に研究開発し、新技術で事業貢献を行うことを目的としたR&D組織を2018年8月から設置したと発表した。

DeNAは、コーポレートビジョン(長期の経営指針)として「インターネットやAIを活用し、永久ベンチャーとして世の中にデライトを届ける」を掲げ、ゲーム、Eコマース、オートモーティブ、ヘルスケア、スポーツなど、幅広い領域で事業を展開している。

事業領域の拡大が加速する中、技術開発部門では、新しい技術をいかに早く取り入れ、挑戦領域で実用化するかが求められるようになってきたことから、既存事業の開発現場とは別に、最先端技術の研究開発と事業化への発案に集中できる集団として、R&D組織を新設したという。

R&D組織では、2018年4月にシステム本部長に就任した執行役員の小林篤氏を代表とするシステム本部 技術開発室が中心となり、新技術の研究開発に取り組む。研究テーマは、DeNA全社員からの提案を対象とし、技術開発室で選定する。

研究開発の成果は、半期ごとに実施される社内の先行技術発表会で発表する他、DeNAが毎年主催する「TechCon」などの各種テックカンファレンスなどで外部発表することも積極的に検討していくとしている。

エアコンが入り込めない場所は意外に多い。

今年の夏は日本の各地で40度を超える猛暑が続いた。7月のエアコン出荷台数が過去最高を記録するなど、酷暑をクールに過ごしたいという要求はひときわ高くなっている。

これだけ気温が高くなると、従来の家庭のエアコンでもカバーしきれないところが出てくる。そこをどうするか、空調大手のダイキン工業の東京ショールーム、フーハ東京の館長を務める太田正治マネージャーに話を聞いた。

日本は家全体を冷暖房することは少なく、部屋単位で冷やしたり温めたりする。リビング、寝室などにルームエアコンを設置し、それぞれに室外機を設置するというのが通例だ。しかし、このやり方では十分に冷やせないところが出てくる。キッチン、廊下、洗面所、トイレ。猛暑ではこうしたところに長時間いることが苦痛となる。筆者の自宅ではトイレで長時間過ごすとなると汗だくになってしまい、そのあとにシャワーを浴びることも、この夏は多かった。

ダイキンは2018年2月、「ココタス」というエアコンの新製品を投入した。これは、従来はエアコンを設置できなかった狭い空間に空調設備を置けるという製品。廊下、洗面所、キッチンなど短い時間しか使われない狭い「非居室」にも空調管理をもたらすマルチエアコンで、天井に換気扇大の「カセット」を設置し、天井に配管し、1台の室外機から複数の室内機をコントロールする。

これならばこうした問題を全て解決できるのではないか。この酷暑なのでバカ売れしているのではないかと投げかけてみた。

「このエアコンは壁掛けではない、埋め込みのタイプで、マルチと言われている商品。設計事務所、工務店、ハウスメーカーさんなどに先付けで設置していただくもので、暑くなったから売れるという商品ではない」と太田さん。工事が大掛かりになることもあり、新築やリフォーム時に計画的に採用するという製品なのだという。

筆者の自宅もそろそろリフォームの時期。この暑さが毎年来るとなると、いつかトイレで倒れてしまうかもしれない。こうした「狭い個室」で快適に過ごすためにならココタスに対応する大幅なリフォームも仕方ないだろう、とは考える。

しかし、トイレはココタスの対象外なのだ。「アンモニアによる腐食の問題が解決されてないのです」と太田マネージャーは説明する。たしかに、「ココタス設置のご注意」として、「トイレ内には設置しないでください」とある。

「トイレでエアコン」はココタスをもってしてもまだ対応できないのだ。ただ、トイレのドアから風が入るようにして、廊下を冷やしておくというやり方は可能だという。トイレ専用エアコンは一時期パナソニックが製品を出していたが現在は製造をしていない。扇風機くらいしか策がないというのが現状だ。

それでも希望はありそうだ。大型化するリビングで火を使う台所だけを冷やしたり、洗面所などエアコンが行き渡らない場所に対応するココタス。こうした水回りにおける展開では、ダイキンはTOTOと協力もしているそうなので、アンモニア対策などの技術開発を進めてもらい、さらに過酷になることが予想される夏を「クールなトイレ」で乗り切れるよう、期待したいところだ。