猛暑にココダス空調で対応できる
エアコンが入り込めない場所は意外に多い。
今年の夏は日本の各地で40度を超える猛暑が続いた。7月のエアコン出荷台数が過去最高を記録するなど、酷暑をクールに過ごしたいという要求はひときわ高くなっている。
これだけ気温が高くなると、従来の家庭のエアコンでもカバーしきれないところが出てくる。そこをどうするか、空調大手のダイキン工業の東京ショールーム、フーハ東京の館長を務める太田正治マネージャーに話を聞いた。
日本は家全体を冷暖房することは少なく、部屋単位で冷やしたり温めたりする。リビング、寝室などにルームエアコンを設置し、それぞれに室外機を設置するというのが通例だ。しかし、このやり方では十分に冷やせないところが出てくる。キッチン、廊下、洗面所、トイレ。猛暑ではこうしたところに長時間いることが苦痛となる。筆者の自宅ではトイレで長時間過ごすとなると汗だくになってしまい、そのあとにシャワーを浴びることも、この夏は多かった。
ダイキンは2018年2月、「ココタス」というエアコンの新製品を投入した。これは、従来はエアコンを設置できなかった狭い空間に空調設備を置けるという製品。廊下、洗面所、キッチンなど短い時間しか使われない狭い「非居室」にも空調管理をもたらすマルチエアコンで、天井に換気扇大の「カセット」を設置し、天井に配管し、1台の室外機から複数の室内機をコントロールする。
これならばこうした問題を全て解決できるのではないか。この酷暑なのでバカ売れしているのではないかと投げかけてみた。
「このエアコンは壁掛けではない、埋め込みのタイプで、マルチと言われている商品。設計事務所、工務店、ハウスメーカーさんなどに先付けで設置していただくもので、暑くなったから売れるという商品ではない」と太田さん。工事が大掛かりになることもあり、新築やリフォーム時に計画的に採用するという製品なのだという。
筆者の自宅もそろそろリフォームの時期。この暑さが毎年来るとなると、いつかトイレで倒れてしまうかもしれない。こうした「狭い個室」で快適に過ごすためにならココタスに対応する大幅なリフォームも仕方ないだろう、とは考える。
しかし、トイレはココタスの対象外なのだ。「アンモニアによる腐食の問題が解決されてないのです」と太田マネージャーは説明する。たしかに、「ココタス設置のご注意」として、「トイレ内には設置しないでください」とある。
「トイレでエアコン」はココタスをもってしてもまだ対応できないのだ。ただ、トイレのドアから風が入るようにして、廊下を冷やしておくというやり方は可能だという。トイレ専用エアコンは一時期パナソニックが製品を出していたが現在は製造をしていない。扇風機くらいしか策がないというのが現状だ。
それでも希望はありそうだ。大型化するリビングで火を使う台所だけを冷やしたり、洗面所などエアコンが行き渡らない場所に対応するココタス。こうした水回りにおける展開では、ダイキンはTOTOと協力もしているそうなので、アンモニア対策などの技術開発を進めてもらい、さらに過酷になることが予想される夏を「クールなトイレ」で乗り切れるよう、期待したいところだ。